ISO14001:2015改訂速報
ISO14001:2015の最新情報をお届けします。
環境マネジメントシステムの国際規格であるISO14001は、1996年の発行から2004年度版を経て、2015年秋に11年振りの大幅改定が進められています。
ISO規格は日々進化する技術革新や時代に即したニーズに対応するため、定期的(原則は5年ごと)に見直されることになっています。
本サイトでは、ISO14001の改訂に関する最新情報や改訂スケジュール、2004年版からの主な変更点についてご紹介します。
目次
1. ISO14001:2015 最新情報
2. ISO14001:2015年版への移行について
3. 改正のポイント&ISO14001:2004とISO/DIS14001:2014の変更点
4. ISO/DIS 14001の構成
5. 推奨される改訂対応とは
6. 当社が推奨する、改訂対応のステップ
7. ISO14001:2015改訂速報セミナー(無料)のご案内
1. ISO14001:2015 最新情報
(2015年11月30日 追記)2015年11月20日に、JIS Q 14001:2015が発行されました。
(2015年9月20日 追記)2015年9月15日に、ISO14001:2015が発行されました。
(2015年7月3日 追記)2015年7月2日に、FDISが発行され、ステージ 50.20(FDIS投票の開始)へ進みました。2か月間の投票を経て、9月にはISO14001:2015が発行される見通しです。
(2015年6月時点)2015年5月22日に、ステージ50.00(正式承認のために FDIS を登録)へ進みました。7月-8月には、FDIS投票が開始、10月にはISO14001:2015が発行される見通しです。
(2015年2月時点)当初、2015年7月にISO14001:2015が発行される予定でしたが、3か月ほど遅れ、2015年10月に発行される見通しです。
※最新情報は、ISOのWebサイト(英語)からご確認いただけます。
ISO14001:2015発行までのスケジュール(予定)
- 2015年7月:FDIS(最終国際規格案)発行
- 2015年10月:ISO14001:2015(国際規格)発行
- 2015年12月:JIS Q 14001:2015発行
2. ISO14001:2015年版への移行について
今回の改正では、トップマネジメント(経営者)のマネジメントシステム運用へのより強い「リーダーシップ」をはじめ、「リスク」や「ライフサイクル思考」といった新しい考え方が取り入れられ、従来以上に「結果重視型」の環境マネジメントシステムになると言われています。
ISO14001:2004から、ISO/DIS14001への改正のポイントと主な変更点は、以下のとおりです。
3. 改正のポイント & ISO14001:2004とISO/DIS14001:2014の変更点
今回の改正では、トップマネジメント(経営者)のマネジメントシステム運用へのより強いリーダーシップ、
マネジメントシステム運用の目的、顧客等の外部との関係性、自社内の課題を含む組織の事業環境の明確化などの点が強調されています。
ISO14001:2004から、ISO/DIS14001への主な変更点は、以下のとおりです。
- 附属書SLで規定される「上位構造/HLS(ハイレベルストラクチャー)」が適用された(※1)
- 組織の戦略的な環境マネジメントの重要性が強調された
- リーダーシップが強化された
- 環境保護に対するコミットメントが追加された
- 順守義務への適合が強調された
- リスク及び機会が追加された
- 環境パフォーマンス評価が重視された
- ライフサイクル思考が追加された
- コミュニケーションが強化された
- 文書化要求が柔軟になった
附属書SLとは、マネジメントシステムの枠組みを定義するもので、「規格作成者向けのルールブック」のことです。
附属書SLは、2012年5月に発行され、マネジメント規格を作成/改定する場合は、この附属書SLを使用して、規格を策定しなければならないことになりました。これにより、それぞれの規格が、この附属書SLに基づき策定されることで、企業は、効果的かつ効率的な方法で複数のマネジメントシステムを統合することが可能になるでしょう。
▶▶詳細は、コラム「Annex SLとは」をご参照ください◀◀
4. ISO/DIS 14001:2014の要求事項の構成
Plan (計画) |
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4 組織の状況 | |
4.1 組織及びその状況の理解 | |
4.2 利害関係者のニーズ及び期待の理解 | |
4.3 環境マネジメントシステムの適用範囲の決定 | |
4.4 環境マネジメントシステム | |
5 リーダーシップ | |
5.1 リーダーシップ及びコミットメント | |
5.2 環境方針 | |
5.3 組織の役割、責任及び権限 | |
6 計画 | |
6.1 脅威及び機会に関連するリスクへの取組み | |
6.1.1 一般 | |
6.1.2 著しい環境側面 | |
6.1.3 順守義務 | |
6.1.4 脅威及び機会に関連するリスク | |
6.1.5 取組みのための計画策定 | |
6.2 環境目的及びそれを達成するための計画策定 | |
6.2.1 環境目的 | |
6.2.2 環境目的を達成するための取組みの計画策定 | |
7 支援 | |
7.1 資源 | |
7.2 力量 | |
7.3 認識 | |
7.4 コミュニケーション | |
7.4.1 一般 | |
7.4.2 内部コミュニケーション | |
7.4.3 外部コミュニケーション | |
7.5 文書化した情報 | |
7.5.1 一般 | |
7.5.2 作成及び更新 | |
7.5.3 文書化した情報の管理 | |
Do (実施) |
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8 運用 | |
8.1 運用の計画及び管理 | |
8.2 緊急事態への準備及び対応 | |
Check (チェック) |
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9 パフォーマンス評価 | |
9.1 監視、測定、分析及び評価 | |
9.1.1 一般 | |
9.1.2 順守評価 | |
9.2 内部監査 | |
9.3 マネジメントレビュー | |
Act (処置・改善) |
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10 改善 | |
10.1 一般 | |
10.2 不適合及び是正処置 | |
10.3 継続的改善 |
5. 推奨される改訂対応とは
IAFは、ISO14001:2004を使用する組織に対して、以下を実施することを推奨しています。
- 新しい要求事項を満たすために必要なギャップを特定すること
- 実行計画を策定すること
- 組織の有効性に影響を与える全ての要員に対する教育を実施すること
- 既存の環境マネジメントシステムの更新と有効性を検証すること
- 該当する場合は、認証機関と移行のための手配に関する連絡をとること
6. 当社が推奨する、改訂対応のステップ
改訂対応のステップ | 対応内容 |
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STEP1:規格要求事項の理解 | 2015年版の規格要求事項を正しく理解します。 |
STEP2:ギャップ分析 (差分の洗い出し) |
2015年度版の要求事項を満たすために、現行のEMSとのギャップを特定します。 |
STEP3:移行対応計画の策定 | STEP2のギャップ分析の結果から、追加/変更が必要とされるプロセスなどについて、対応方法の方向性を決定し、移行計画を策定します。 |
STEP4:ギャップへの対応 | 移行対応計画に基づき、追加された要求事項(組織の状況/適用範囲/方針の決定/リスク及び機会への取り組み、業務プロセスの見直しなど)を決定します。 |
STEP5:文書類(マニュアル・手順書類)の改訂 | STEP4で決定しマニュアルや手順書に追加/修正し、文書類を改訂します。 |
STEP6:従業員教育の実施とその有効性の評価 |
従業員への教育と、その教育の有効性を評価します。
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STEP7:ISO14001:2015での運用開始 | 改訂したマニュアル・手順書に沿って、運用を開始します。 |
STEP8:パフォーマンスの監視・測定及び分析、評価の実施 | |
STEP9:ISO14001:2015内部監査員の養成 | 2015年度版での内部監査を実施するために必要な力量を確保するため、教育及び訓練を実施します。 |
STEP10:内部監査の実施 | 内部監査を実施します。 特に、以下の点に留意しての内部監査を実施する必要があります。
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STEP11:マネジメントレビューの実施 | マネジメントレビューを行い、マネジメントシステムの有効性を検証します。 |
STEP12:移行審査の受審 |
7. ISO14001:2015改訂速報セミナー(無料)のご案内
TWS総合研究所では、FDISが発行され次第、ISO14001:2015改訂速報セミナー(無料)を開催いたします。
開催のご案内をご希望の方は、お問い合わせフォーム(メールマガジン配信登録)にてご登録ください。
【IAF】http://www.iaf.nu/
【ISO】http://www.iso.org/iso/iso14001_revision
【Technical Committee】https://committee.iso.org/tc207sc1