みならい君とベテラン君の「内部監査員物語」
第2回 監査チェックリストの工夫
この物語は、見習い内部監査員の「みならい君」が、ベテラン内部監査員の「ベテラン君」の指導によって一人前の内部監査員になるまでの物語です。
第2回 監査チェックリストの工夫

ベテラン君
う~ん、みならい君は、まだ内部監査チェックリストの本質が理解できていないようだね?
チェックリストには、様々なメリットの他に、当然のことながらデメリットもあるんだよ!
メリット
- 監査の標準化が実現できる
- 監査の効率性が確保できる
- 監査の証拠として活用できる(記入後)
- 監査の質の向上が実現できる
デメリット
- チェックリストに傾注しすぎて、重要な他の確認事項を見落としてしまう可能性がある(チェックリスト記載以外の項目など)
- 適合性の判定には向いているが、有効性の判定には不十分
メリットの1~3は、チェックリストを活用するメリットで、4はチェックリストを応用することで得られるメリットだよ!すなわち、内部監査終了後にその監査で発見されたチェックリストに載っていなかった質問を、追記していくことで監査の質を向上できることだね!

ベテラン君
まさに、今のみならい君の質問は、デメリットの1のことだね!
そもそも監査チェックリストは、監査のポイントをまとめただけのものだから、チェック項目以外の質問をすることは、実際の監査現場では多く見られるんだよ! したがって、監査チェックリストを埋めるだけの監査では効果的な監査ができないということになってしまうんだよ!

みならい君
なるほど、監査チェックリストはあくまでもツールとして活用し、重要なことはその質問事項から展開する監査員と監査を受ける部門の対応者とのやりとりにあるんですね!
あわせてチェックリストは「一回作ったら終わり」、ではなくメンテナンスをすることで「更にメリットが得られること」もよく理解できました!

ベテラン君
さすが!みならい君!飲み込み早いね!内部監査チェックリストは“何のために”、“誰のために”作成されるかによって、その内容が変わってくるんだね!
- 誰が監査チェックリストを利用するのか?(例:ベテラン監査員のみ使用する・初めて監査をする人も使用する)
- 何のために監査チェックリストを作成するのか?(例:監査業務の標準化のため・監査の質の維持のため・単なる監査の記録のため)

ベテラン君
例えば、新しく監査員になった人でも容易に利用できる監査チェックリストを前提にするのであれば、詳細に監査ポイントを含めることが望ましいと思うし、ベテランの監査員の人だけが利用することを前提とするならば、ポイントだけで良いしね!

みならい君
なるほど!ベテランの監査員であれば、「作成の確認」という項目だけあれば、「作成者や作成日の妥当性又はインプットにするべき情報の適切性」を確認をする必要があることが分かるし、「承認の確認」、「配布の確認」 という項目を見ればそれぞれの妥当性の確認ができるということですね!

ベテラン君
そのとおり!チェックリストを作成する上で重要なことは、「実際に使用する人の視点」で作成することなんだよ!
当然のことながらチェックリストは、標準化のツールなんだから、作った人しか使えなかったら困るものね!

みならい君
チェックリストの本質が良くわかりました!
でも、質問項目を個別にチェックリストに落とさず、一行で“××課長は毎年n月に、△△に基づき「○○計画書を作成し、部長の承認を得たうえでコピーを各部門長へ配布しているか?”でもいいんですよね?

ベテラン君
次回の連載では、そのチェックリストを活用して実際に行う監査のインタビューを有効的に実現するためのポイント「第3回監査インタビューの工夫」を解説していきます。どうぞお楽しみに!
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