この物語は、見習い内部監査員の「みならい君」が、ベテラン内部監査員の「ベテラン君」の指導によって一人前の内部監査員になるまでの物語です。
第4回 監査報告書の工夫
みならい君
先輩!とうとう最終回になってしまいました。とてもさみしいです。
ベテラン君
そうだね、でも今まで覚えたことをキチンと実施すれば、必ず内部監査は成功すると思うよ!
みならい君
はい先輩!最後のテーマは、“監査報告書の工夫”ということですね?
ベテラン君
そうだね、まず監査報告書とはどのようなものかをおさらいしよう!
みならい君!監査報告書には、どんな種類があるか説明してくれるかい?
みならい君!監査報告書には、どんな種類があるか説明してくれるかい?
みならい君
はい、監査がどのような結果であったかを報告する“監査実施結果報告書”とどのような不適合が発見されたかを報告する“不適合(指摘事項)報告書”があると思います。
ベテラン君
そうだね、名称は企業によって異なると思うけど、全体的な監査結果を報告書に報告するものと、発見された改善点の詳細を個別に報告するものの2つに大別されるね!
監査実施結果報告書 | 不適合報告書 | |
---|---|---|
ねらい | 実施した監査がどのような結果だったかを報告するため | 発見された不適合(改善点)がどのような内容であったかを報告するため |
発行単位 | 全社で一つ、又は部門や監査範囲単位 | 不適合(改善点・指摘事項)単位 |
含まれることが望ましい項目 |
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ベテラン君
それでは、まずは実施した監査の結果を報告する監査実施結果報告書には、どのような作成上の留意点があるか説明してもらえるかい?
みならい君
はい、実施された監査結果がどのようなものであったかを要約して報告することです!
ベテラン君
そうだね、指摘事項をひとつ、ひとつ報告する“不適合事項”とは違い、監査の全体的な報告である“監査実施結果報告書”は、細かい内容より自社のマネジメントシステムの適切性や妥当性、ならびに有効性がどのような状態かを判断できるサマリー的な内容を重視すべきだよね!
みならい君
はい!
ベテラン君
あわせて、その要約の報告とあわせて、実施された監査結果の特性をグラフなどを用いて報告することも、自社のマネジメントシステムの現在の状況をトップマネジメントに捉えてもらうためには良いかもね!
みならい君
なるほど!ISO9001の“8.4データ分析”を活用するということですね!
ベテラン君
では、次に、発見された改善点の詳細を個別に報告する不適合報告書には、どのような作成上の留意点があるか説明してもらえるかい?
みならい君
はい、発見された不適合が、どのような内容だったのかをトップマネジメントや、その他の報告者に確実に理解してもらうために事実を正しく記載することです!
ベテラン君
そうだね、多くの場合、報告を受ける人はその監査の場にいないので、正しく状況や指摘事項の影響の大きさを知るためには、報告書だけが頼りなんだよね!
したがって、作成上の留意点は、“報告者の感性や意見などを含めず、事実を客観的に記載すること“と、”改善の判断材料を正しく提供する(もともと、どのようなルールがあって、実際はそのような状態であったのか?)“が重要だよね?
したがって、作成上の留意点は、“報告者の感性や意見などを含めず、事実を客観的に記載すること“と、”改善の判断材料を正しく提供する(もともと、どのようなルールがあって、実際はそのような状態であったのか?)“が重要だよね?
不適合報告書作成時の留意点 | |
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ポイント | 留意点 |
事実を過去形で記載する(客観性の確保) | ①あいまいな表現は避ける ②なるべく具体的に表記する |
改善の判断基準を確実に報告者に提示する | 重大なことか、軽微なことかを記載し判断材料を提供する。 「○○には~と規定されているが、□□では、△△だった」 ○○:規格要求事項、自社の規定 □□:部門や担当者 △△:実施していなかった、記録がなかった、承認されていなかった |
観察事項(推奨事項)については、命令形の表記は避ける | 「・・・が望ましい。」等の表現が好ましい。 |
みならい君
なるほど!その不適合が一部にしか影響を与えないのか?、大きな範囲で影響を与えるのか?、またその不適合は一部に発生しているのか?広範囲で発生しているのか?、が報告者に確実に伝わらなければ、改善のための判断基準としては、不足ですものね!
不適合報告書の良い例・悪い例 | |
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悪い例 | 良い例 |
「○○指示書」が承認されていなかった。 | ××規定では、「○○指示書」は上長の承認を得て、発行することと規定されているが、一部の「○○指示書」が、上長の承認を得ずに発行されていた。(平成△△年7月~11月のサンプリングで7件発見された) |
ベテラン君
そうだね、上の悪い事例を見ても、もともとのルールはどのようなものだったのか?全ての指示書が承認されていなかったのか?など報告書を見る人は、判断つかないものね!
したがって、報告書作成時の最大のポイントは、“報告書を見る側の視点で作成する”ということだね!
したがって、報告書作成時の最大のポイントは、“報告書を見る側の視点で作成する”ということだね!
みならい君
なるほど!せっかく効果的な監査を実施しても、最後に重要な報告書で正しく伝えられなければ、適切な改善の指示や、それにつづくマネジメントレビューも効果的に実施できなくなりますもんね! よ~く分かりました。
ベテラン君
そのとおり! 今回の連載一回目から話しているとおり、内部監査は“誰のために実施するのか?”、“何のために実施するのか?”の原点にかえれば、おのずと答えが出てくるよね?
みならい君
先輩、今回が最終回で教えてもらうのが最後ということでさみしいですが、過去の4回の連載で学んだことを確実に実行し、一人前の監査員になります! ありがとうございました。
ベテラン君
そのとおり! 今回の連載一回目から話しているとおり、内部監査は“誰のために実施するのか?”、“何のために実施するのか?”の原点にかえれば、おのずと答えが出てくるよね?
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