この物語は、見習い内部監査員の「みならい君」が、ベテラン内部監査員の「ベテラン君」の指導によって一人前の内部監査員になるまでの物語です。
連載第3回 監査インタビューの工夫
みならい君
先輩!今日は待望の、内部監査インタビューに関する工夫を教えていただけるんですね! 前回のチェックリストの講義では、“監査インタビュー時には監査チェックリストに傾注しすぎず、チェックリストを弾力的に活用する”というところまでは学びました!
ベテラン君
そうだね、まず監査インタビューの本質をおさらいしよう!みならい君!監査インタビューの本質を説明してくれるかい?
みならい君
はい、監査インタビューの本質は、不適合を発見するために・・・・、担当者に質問すること・・・ですか?
ベテラン君
う~ん、みならい君は、まだ内部監査におけるインタビューの本質が理解できていないようだね?
ちょっと難しい言葉かもしれないけれど、本質は「マネジメントシステムに対する適合性と有効性について監査員が直接担当者に聞いて心証を得ること」なんだよ。
ちょっと難しい言葉かもしれないけれど、本質は「マネジメントシステムに対する適合性と有効性について監査員が直接担当者に聞いて心証を得ること」なんだよ。
みならい君
“心証を得ること”・・・・
ベテラン君
そう、“心証を得ること”、すなわち、“心証を確立”するためにインタビューを行うということだね。監査は“相手に回答してもらって始めて成立する”んだよ。
みならい君
ということは、“担当者が答えてくれて”監査は成立するということですね!
ベテラン君
そのとおり! 内部監査におけるインタビューのポイントは、
- 相手が答えやすい環境を整備すること
- 質問の主眼点をおさえてインタビューすること
- 意図した回答を得られるような質問をすること
なんだよ!
みならい君
なるほど、”相手が答えやすい環境を整備すること”とは、監査員側の質問の姿勢ということですね!!
ベテラン君
そのとおり! 大きく分けて“してはならないこと”と“すべきこと”にわけられるんだよ。
監査のインタビュー時にしてはならないこと:
- 一度にたくさんの質問をする
- 曖昧な質問をする
- 話のこしをおる
- 答えに対して批判する
- いらいらした姿勢をとる
- 怠けた態度姿勢をとる
- 休みなく話す
- 議論してしまう
- 分かっていないのに分かったと言う
監査のインタビュー時にすべきこと:
- 相手の目を見て話す
- 理解していることを示す
- 興味をもっていることを示す
- 質問は明確にし、確実に理解されるようにする
- 質問に答える時間を与える
- 常に公平である
- ほめるときにはほめる
- 思いやりをもつ
みならい君
なるほど、自分が監査を受ける立場であれば、“すべきこと”に記載されている姿勢でインタビューを受ければ、一生懸命質問に答えようと思いたくなり、逆に“してはならないこと”に記載されている態度をとられたら、2度と監査に協力したくならなくなりますものね。
ベテラン君
まさに、そのとおり! 次に“質問の主眼点をおさえてインタビューすること”とは心証の確立をするポイントとなる“ルールの確立・理解・実施・有効性”を体系的にとらえてインタビューすることだよ!
1. 担当者が実施する手順は決まっているか | 体制面の監査 | 適合性の判定 |
2. 担当者は手順を理解しているか | ||
3. 実際の作業は、定められた手順に準拠しているか | 運用面の監査 | |
4. 定められた手順自体に有効性等の問題はないか | 有効性の判定 |
みならい君
るほど、特に3は、インタビューに合わせて“記録を確認すること”や“担当者に実際に作業してもらう”ことなども含むんですね!
ベテラン君
流石!みならい君!飲み込み早いね~、 次は“意図した回答を得られるような質問をすること”だね!
みならい君
はい!それは分かります!“はい”と“いいえ”しか答えられない質問はしないこと!ですよね!
ベテラン君
そうだね!特定の事実を確認するには“はい”と“いいえ”で答えられる質問の形式で良いけれど、相手の考え方や理解度、問題点の確認などには、その質問形式では有効なインタビューができないもんね!
質問の目的 | のぞましくない質問 (答えが“はい”か“いいえ”) |
望ましい質問 |
---|---|---|
理解の確認 | その手順を理解していますか? | その手順を簡単に説明してもらえますか? |
実施状況の確認 | その手順を実施していますか? | そのやり方を見せてもらえますか? その記録を見せてもらえますか? その現場を見せてもらえますか? |
問題点の確認 | その手順に問題はありますか? | ××が実施されないとどうなりますか? |
みならい君
よ~く分かりました!重要なことは相手の立場になってインタビューすること、意図した答えが得られる質問を確実に行うことですね!
ベテラン君
そのとおり!確認した事実を確実に記録することも、忘れないようにね!その記録は次に続く“報告書の作成”の重要なインプットになるからね!
みならい君
う~ん!奥が深い・・・。次回は、最終回の“監査報告書の工夫”ですね!期待してま~す!
ベテラン君
次回は、みならい君の言ったとおり、監査結果に基づき作成される監査報告書を有効的に実現するためのポイントを解説していきます。どうぞお楽しみに!
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